obsidian is gently shines
第12章 trust that follows
「セチアさん?」
「はい」
「あのね、上司だからって訳じゃないんだけどね、モブリットもそこそこ優良株だと思うんだ。どう?リヴァイから乗り換える気ない?」
「へっ?!」
「ハンジさん!!!」
「あはは。冗談冗談!
二人ともいい表情だよ、ウンウン」
『それに、彼がいなくなるとうちの班は立ち行かなくなっちゃうからね~。やっぱりあげられないね~』
と、さらりと付け加えたのをセチアは聞き逃さない。
「ハンジ分隊長、それは…」
「ん?何?」
やっぱり"そういう意味"なのだろうか。
何しろ、見かける度に必ずといっていいほど二人セットでいる。
どちらかが一人でいる時もあるにはあるが-だいたいモブリットの事が多い-大抵もう一人のための用事をこなしている。
今も目の前で二人、並んでソファーに座っている。あくまでも自然に。
その様子はまるで…
(家で見るパパとママみたい)
「…じーっ…」
「んふふ♪」
眉間にきゅっと皺を寄せるセチアに、ハンジはにんまりと笑いかけては唇の前に人差し指を立てる。
『これ以上はナイショ』
そう言いたいのだろう。気にはなるが、今日の所はここでお終いらしい。
「ごめん、話しをずらしちゃったね。
さて」
と足を組み換えれば、あわせてボリュームのあるポニーテールが小さく揺れた。
「セチア…
話していいって言われてないのに、
どうして聞かせてくれたのかな?」
「それは…お二人だからです」
その答えはシンプルに、凛とした声で。