obsidian is gently shines
第12章 trust that follows
「君は随分と寛容というか、何というか…」
「いえいえ、驚いたのは本当です。
でも恥ずかしくはなくて…
どちらかといえば、羨ましいなって」
「羨ましい…?」
またも、ハンジの好奇心がじわりと滲み出す。
それに気付いているかはわからないが、答える様にセチアはこくりと頷いた。
「羨ましいです。
だって、あんなに好きでいてもらえるんですよ?パパはママを。ママはパパを」
その時のことをまた思い出しているのだろう。
照れ笑いを隠すように、少しだけ俯いて両手の指をきゅっと絡める。
「いいなぁ…
いつか私も、パパとママみたいになれたら…
そう思いました」
「…リヴァイと二人で、かい?」
「!!」
驚き、ぱっと顔を上げるセチア。
(見事なまでにそっくり…いや同じ、かな。綺麗な色だね)
大きく見開かれたその瞳、透き通る空色はふわふわとした髪とその淡い金色を引き立たせる。
逆もまた然り。
「…あの…」
「ん?どした?」
「…あ、あの…それは…」
「んふふ、真っ赤になっちゃって~
か~わいい!」
どうやら自分のこととなると、途端に狼狽えてしまうらしい。
大好きなイチゴのように赤い両頬。
セチアは手の平をぎゅっと押し当て、ふぅと息を吐く。
そうすれば次は手の甲。またもぎゅっと押し当て息を吐く。
「大丈夫?よかったらこれ」
「あ……、ありがとうございます」
何時の間にやら席を立っていたモブリット。
必死に熱を冷まそうとするセチアのため、冷水に通したハンカチを用意してくれたらしい。
(流石モブリット…。気が利くねぇ)
ほんとうに、何処までも真面目でマメな人である。