obsidian is gently shines
第12章 trust that follows
「へえ……
そっかそっか~
いいこと聞いたなぁ。うんうん」
大袈裟に何度も頷くハンジと
「分隊長、他言はいけまけんよ」
つい小言が出てしまうモブリット。
「大丈夫だって。
そこまで非常識じゃないつもりだよ?
…なんていうかさ、安心したんだ」
「安心、ですか?」
今の"聞けば誰もが驚いてしまうだろう話"を聞いて、安心とは…?
不思議に感じたセチアは、何故そう思ったのか知りたいと、無意識のうちの好奇心と共に真っ直ぐにハンジを見つめる。
「うん。ほら、エルヴィンって真面目だろ?
いつも隙なくきちっとしててさ…
家でもそんな感じなのかなって」
何かを振り落すかのように、
小さくかぶりを振る。
「そうか……、うん」
憂いは晴れたのだろうか。
視線はカップに落としたまま、その口元が柔らかく弧を描いた。
「ほんと、安心したよ。
気が抜ける瞬間があるんだって知れたから」
ところで、と、最後の一口を飲みきると、今度はハンジがセチアを見つめ返す。
「どうしてそんなプライベートなことを話してくれたの?」
「え…」
「いやさ、正直他人に聞かせるような話じゃないよねって思って。ていうか、そもそも"子供"としては恥ずかしくなかったのかい?親のそんな姿。ちょっと聞いててアレっていうかなんていうか……。あ、今の朝の話、誰かに聞かせるってエルヴィンに許可とった?とってないよね?だって簡単に『いいよ~』って言うとは思えないような内容に感じたんだけど?」
「分隊長?!いきなり何を…!
失礼ですよ!!!」
「そんな怖い顔しないでよ。いいじゃない、話して聞かせてくれたのは他ならぬセチアなんだし」
笑っている。
が、そうは感じさせない笑顔。