obsidian is gently shines
第1章 お幾つになりましたか?
(仕方ない…)
些か負けた気がしなくもないが、確実に話題をそらす取って置きのネタ。
それを、リヴァイは引き出しの一番奥から引っ張り出した。
「若いというなら
お前の"親"も大概だがな?」
「それは…
まぁ、確かに。
あの二人も若い」
親、という単語に漏れなく反応し、一瞬にしてセチアの意識は全てそちらに流れていく。
(うまくいったか)
彼女の両親。
父であるエルヴィンと、母であるナナバ。
両名ともその見た目は実年齢よりも確実に若い。
ある意味リヴァイと同じカテゴリーにいるといえよう。
そしてそんな二人の事が、セチアはとにかく好きだった。
「俺の知る限り、アイツらも老けてないぞ」
「う~ん…」
「でも、リヴァイに比べたら年齢重ねてるなって思う。どこがって言われると、ちょっと困るけど」
『それって、要するに、やっぱり歳とってないってこと?』
『いや、雰囲気に年齢を感じるってことかな?』
と、二人の優しい面差しを思い出せば、今朝方あったついつい笑ってしまうやりとりが一緒に思い出された。