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obsidian is gently shines

第11章 スミス家の日常



何とか座れるようになったソファー。
モブリットはハンジを座らせると、紅茶の用意のため備え付けの簡易キッチンに立つ。


「あの、なにかお手伝いを…」

「ありがとう。
 お客様なんだから、気にしないでいいよ」

「そうそう。因みに私は
 キッチンに立つのを禁止されてる」

『え』と思わずこぼれた一文字にあわせ、セチアの瞳がほんの少し見開かれる。


「自分では上手いつもりなんだけどね。
 モブリットには
 『やめてください、お願いですから』
 って泣かれちゃってさ」

「そんな……
 ハンジ分隊長、手先が器用そうで
 お料理なんかもお上手そうにみえます」


『聞いた?ねぇ、聞いた?!私やれば出来る子!』
と興奮しきりの上司に
『はいはい、落ち着いてください』
とまるで子に対する親の様にさらりと返す部下。







「お待たせ。
 さ、冷めないうちにどうぞ」


テーブルに置かれたマグは二つ。
きっと一度に淹れられるのは二人分が限度なのだろう。


「いただきます。
 ……ん、とっても美味しいです」


『美味しい』の一言を聞くと、モブリットは満足気に頷き、再度キッチンに立つ。
今から淹れるのは自分用だろう、彼の手元には濃い青色のカップが一つ置かれている。


「お口にあったようでよかった。
 そういえば、君はやっぱり紅茶好き?」

「はい。
 珈琲も頂きますが、どちらかといえば」


エルヴィンもナナバも紅茶が好きだし、リヴァイも好きだ。
自然、セチアも飲む機会が多くなる。


「家でもよく飲むのかい?」

「そうですね…
 何か、と考えると紅茶が殆どです。
 朝食の時は特に」

「そっかそっか。
 いやぁ、ここは紅茶好きが多いねぇ。

 それにしても…

   ……朝、朝食…、朝…… 」


何かがハンジの琴線に触れたのか、
朝、という単語を何度も呟いては瞬きを繰り返している。

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