obsidian is gently shines
第11章 スミス家の日常
コンコン
『あ~、お帰り~今開けるよ~』
『 あっ ぁあっ!!!?? 』
「っ!!!」
「はぁ…また……」
扉越しに聞こえたその音は、
文字で表すなら
どんがらがっしゃん
だろうか。
兎に角すごい音がした。
「………」
「あの…大丈夫、でしょうか…」
「大丈夫。いつもの事だから」
「そ、そうですか…」
ひきつった顔のセチアとは逆に、モブリットは至極落ち着き払っている。
いやむしろ、呆れた表情を浮かべている。
『ぁ、いったたた…
どうしてこんな簡単に崩れて…』
ややあってから、ゆっくりと引かれる扉。
が、この時にも扉とナニカがぶつかる音が、床近くからしてくる。
(中で何が起こってるんだろ…?)
気にならない訳ではない。が、聞かない方がよさそうだと判断し、セチアはむぐと唇に力を入れた。
「お帰り!
って、セチアも一緒か!
珍しいお客さんだ」
「お疲れ様です、ハンジ分隊長。
これどうぞ」
今しがたの判断は間違っていなかった。
室内がすごい。とにかくスゴイ。
その凄さ具合は…、ぴったり表現できる言葉が思い当たらない程。
「お、手伝ってくれたのか。ありがとう。
モブリットも、ありがとね」
「お礼は結構ですから、
明日は一日掃除の日にしましょう。
そうしましょう」
真顔&ワンブレスで噛むことなく言い切る。
と、続けて『失礼します』と前を見据えたまま一歩踏み出すモブリット。
そんな彼の為、扉前にいたハンジとセチアは、海割りの如く左右に別れて道を作る。