obsidian is gently shines
第10章 time of confidential
「今の話、誰にも言うなよ?」
振り返れば、真っ黒い、大きな瞳を瞬かせて。
『分かったよ。内緒のお話だね』
「…お前は賢いな」
ご褒美に角砂糖を一つ。
と、背後から地面をかく音が。
「催促か。いい度胸だ……
ナナバに似たのか?」
『さぁ、何のことかしら?』
葦毛の彼女は涼しい顔。
「ったく…
今日だけ、特別だぞ」
久しぶりに思い出した、セチアのあの笑顔。
今もどことなく面影が残る、大人になった彼女の笑顔。
その笑顔に免じて、と角砂糖を一つ。
甘い笑顔に、甘い思い出のお裾分け。
Fin