obsidian is gently shines
第9章 好きになったのは:黒色編
『あぶっ』
『いや~、ほんと可愛いね!』
産休明けのある晴れた日。
誰からともなくあがった『赤ちゃんがみたい』というリクエストに応え、控え目にセチアのお披露目会が催された。
『よしよし、君は本当にいい子だね~。あ、指握ってくれた!リヴァイ!ほらすごく可愛いよ!』
『いや、俺はいい。それより…何で俺のとこに集まってる?』
『だってほら、赤ちゃんの為にはリヴァイの部屋が一番だろ?』
ナナバに抱かれたセチアに、ハンジは『ねー』と笑いかける。
『チッ…なんでそうなるんだ』
『綺麗好きなリヴァイの部屋なら、赤ちゃんも安心だからさ』
ハンジはセチアに握られた人差し指を軽く曲げ伸ばししながら、さもありなんという顔で答えた。
じーーーっ
『ん?どうしたの?もしかしてあのおじちゃんに興味ある?』
『あ"?誰が』
おじさんで、と言いかけたリヴァイに、ナナバがそっと目配せする。
『リヴァイ、そこ座って』
促され腰を下ろしたのは、最近設えた応接用のテーブルセット。
部屋の主がこだわってこだわって選んだ極上の座り心地のソファーに、シンプルだが長く使えるマホガニーのローテーブル。
『はい、どうぞ』