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obsidian is gently shines

第9章 好きになったのは:黒色編



「リヴァイ」

「なんだ」

「リヴァイはいつ頃、セチアを好きになったの?」

「…あ"?」


厩舎にて。
たまたま同じタイミングで愛馬の世話をしていた二人は、ナナバからの問いかけを合図に揃って手を止める。


「何だ、突然」

「いや、ちょっと気になって」


『お前も気になるだろ?』
ナナバの問いかけに、葦毛の彼女が大きく二度、上下に首を振る。


「………。
 親としては反対か?」

「まさか」


『私が反対しているようにみえる?』
と、疑問形の語尾とはうらはらに、リヴァイがなんと答えるかを確信している表情。

そんなナナバに
『あり得ないな』
と答えるリヴァイ。その肩には主と同じ艶やかな黒毛の鼻先が乗っている。


「………」

「ほんとうに、何となくだよ。
 …悪かったね。忘れて?」

「……多分、あの時だ」

「あの時…?」

「大したことじゃないからな。
 聞いても面白いことなんてないぞ」

「そう言われると、逆に期待値が増すね。
 よかったら聞かせてくれる?」

「……あれは…」


鼻先を撫でられれば、気持ち良さそうに目を細める。
その表情はまるで、これから語られる思い出話、それを一つも取りこぼすことなどないようにと耳をすませているかのようでー…




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