obsidian is gently shines
第7章 好きになったのは:空色編
「………。
…して…ない…」
「なるほど。じゃ、リヴァイからか」
うんうんと頷き、紅茶を一口。
「…してない、リヴァイからも…」
「んっむ"!ごほっ、ごほ…」
沢山の人から『よく似ている』と常々言われているが、まさかむせ方まで同じとは。
やっぱり私ってママの子なんだなぁ…などと思いつつセチアはナナバの背をさする。
「っん、…ありがと」
「ちょっと普通じゃないよね…
お互いに何も言わないって」
「…まぁ、それは…
でも、人それぞれだから」
「うん、そう。人それぞれ……
…だからこそね、
大丈夫かな、とも思うんだ」
すっきりした顔で、セチアが微笑む。
「うん、大丈夫」
リヴァイは同じ。
あの時からずっと信じていること。
自分が二人を好きな気持ち。
エルヴィンとナナバを好きな気持ち。
大きさや思いの形…
それが行き着く先は、きっと同じ。
自分が二人を大事にしたい気持ち…
どれだけ与えられ、そして返したいと思っているか。
それがきっと、丸ごと同じ。
そうでなければ、あの答えは返ってこなかった。
…きっとリヴァイでなければ『お前と同じだな』という言葉は返ってこなかった。
根拠はないが、信じられる。
だから、
「大丈夫。
私達、普通とはちょっと違うかもしれない。
でも…大丈夫!……だって、私…」
リヴァイのことが 好きだから
呟かれた思いの丈は、ゆっくりと紅茶に溶けて。
また一口含んでは、その想いをのみ込んで。
より一層好きな気持ちが強くなる。
そんな一日の、終わりの時間。
終わっては明日に続く、そんな夜。