obsidian is gently shines
第6章 taciturn adviser
「………」
「リヴァイからの"提案"だ」
心ない者からの、謂れのない言葉。
本人や両親、リヴァイだけではなく、ミケの耳にも届いている。
勿論、そんな話を真に受ける様なことなどないが。
「少しでもセチアの息抜きになれば。せめて自分相手だけでも楽に過ごせたら…そう思ったんじゃないか?まさかセチアからお前たちには言い出せないからな。優しいな、リヴァイは」
「ぐ……」
「それから、ナナバもだ」
「私?どうして?」
ミケは『全てお見通しだぞ』とでも言いたげに、エルヴィンとナナバをじっと見る。
「エルヴィン、気付いているな?」
優しげな縹色は、晴れ渡る青空に似た空色に問いかける。
「お前の耳に入れなかったのは、ナナバの独断としたのは…何かあったときにお前に責任がいかないようにだ」
「ミケ、ストップ」
「そんなナナバを信じないのか?」
「…っ」
「もう、全部言っちゃだめじゃないか」
「フ。皆優しいな」
観念したような溜め息と、それでいてほっとしたような表情でエルヴィンが浅く頷く。
「…すまん、喋りすぎた」
今日は珍しく饒舌だと、ミケは自分で自分に驚く。
だが、らしくないとは思わない。