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obsidian is gently shines

第6章 taciturn adviser



「………」

「エルヴィン、どうした」

「…別に、何もない。何も…」


余憤の表情で書類を受け取る上司と、そんな彼に珍しく不思議そうな顔をする分隊長。



スンスン


「セチアとリヴァイが来ていたか」

「流石だね」

「二人が来ていて……
 あぁ、そうか。成る程な。
 おめでとう」

「何だね、おめでとうとは」

「結婚の挨拶に来たんだろ」

「はいぃっ?!?」


これでもかと瞳孔をかっ開くエルヴィン。
そこに映るのは、きょとんとした顔のミケ。


「?違うのか?」

「ミケ、ちょっと」


ナナバはちょいちょいと手招きし、上司の一人を部屋の隅へと誘導する。


「実は…」

「…ふむ」

「だから私が…」

「そうだったか」

「ミケ!断じてその様な事実はないぞ!!!」

「ああ、分かった。
 だからそう興奮するな」

「全く!
 そうでなくてもいつも一緒なんだ
 何か間違いでもあれば…!」


握ったペンはひたすら同じ場所でぐるぐると円を描き続ける。
もう仕事そっちのけである。いや、そっちのけという感覚もないだろう。
何しろエルヴィンの頭の中は、セチアとリヴァイのことで一杯だから。


「エルヴィン」

「ミケ!何か見かけたら直ぐに教えてくれ!」

「エルヴィン、落ち着け。
 …きっと何も起こらないと思うぞ」


少なくとも今しがたナナバから聞いたことに関しては。と、嘘のつけないミケは念の為に付け加える。


「だいたい、わざわざお前に許可を取るまでもないことだ。何しろ二人きりの時の事だからな。言わなければ誰もわかりっこない」


それでも、二人揃って伝えにきた。
極端に表現するなら、馬鹿正直に。


「しかもセチアは出来ないと言ったんだろう?いい子じゃないか。リヴァイは見る目があるな」

「なっ、君まで何を言い出すんだ?!」

「それに、リヴァイもだ」

「リヴァイも?どういう意味…」

「気付いてるだろ?」

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