obsidian is gently shines
第5章 DNH企画:明日も晴れるのおまじない
「…俺の名前か?」
幼児が書いたと分かるその名前の隣には、いつの間にやらリヴァイの名前が書き加えられている。
「ちが、そうじゃない!
リヴァイだって分かってるでしょ?!」
「これか」
セチアの隣から覗き込み、
つい、と人差し指でなぞった場所には
< 婚姻届 >
の文字が。
「心配するな、この書式は今でも有効だ」
「だから、そういうことじゃないの!だいたい、これ書いた時、私、意味分かってなかったんだよ!?」
「…今はどうなんだ」
「っ!!!」
「どうなんだ」
「…それ、は……っ」
「セチア。
俺は、今どうなんだと、聞いている」
威圧感はない。
不快感もない。
だが、有無を言わせぬ何かを感じる。
きっと、どっちつかずの答えなどでは、リヴァイは納得しないだろう。それでも…
「…それは、その……
書類の意味は…分かるけど…」
「ほう。分かっていて自分で書いたものを無かったことにするのか」
「ちがっ!なんでそうなるの?!」
「……まぁいい」
今は、まだ。
だがー…
「今日とぼけようとしたことは…そうだな、いつかお前自身が"お守り"になれ。それでチャラにしてやる」
「へ、ぇっ!?」
「…意味、分かるだろ?」
ちょっとだけ意地悪そうなその口元。
それとは真逆に、愛しげに撫でる手はセチアの左頬に添えられている。