obsidian is gently shines
第3章 待ちきれなくて
『お前、そうやって毎回待つつもりか』
団長室から出てきたリヴァイは、扉のすぐ脇、静かに壁に背を預ける人へと尋ねた。
『ふふ、心配してくれるのかい』
『どうだかな』
今日もエルヴィンは忙しい。
紅茶を淹れなおすため中座してきたリヴァイは勿論、中ではミケとハンジがその補佐にあたっている。
勿論ナナバも手伝いを申し出た。
が、諸々、その内容の機密性から同じ部屋にいることすら叶わなかったのだ。
故に、こうして部屋の外で待つほかない。
『…いつ終わるか分からなくても、それでもか?』
『そうだね、待つよ。いつまででも』
『……』
『だっていつかは終わるから。
それに…エルヴィンを待つのは楽しいんだ』
『とんだマゾだな』
『そうかもね。それでも、待つよ。だって』
待つことしか出来ないのならば…
待つことをしよう。
それが今ナナバの出来る事。
エルヴィンの為に出来る事。
『頑張って頑張って…
終われば私の所へ来てくれる。
そんなエルヴィンを待つのは、苦じゃないんだ』
『それに、待ってる間にあれこれ考える。
まずはお疲れ様って言って、
シャワーがすめば肩を揉んだりしてさ。
エルヴィン、喜んでくれるかなって』
『……』
『楽しいよ、こんな風に思える時間が。
仕事中なのに悪いな、とは思うけど。
でも止まらない、止められないんだ…』
『そうか…』