obsidian is gently shines
第3章 待ちきれなくて
「…待つんだね。
あの子が来るまで、ここで」
リヴァイは答える代りに、静かに睫を伏せる。
(律儀というか頑固というか。もう梃子でも動かないだろうな…)
ふ、と一つ息を吐き、ナナバはオレンジの入った紙袋を抱え直す。
「さて、それじゃ私は行くよ」
「ナナバ」
「ん?」
「間違っても追い出すようなことはするな」
「……、分かった。
でもそのかわりにね、
リヴァイも無茶だけはしないこと」
「あぁ、大丈夫だ」
(ただ、待ちきれないだけなんだ)
君を。
ただ、それだけだから。