obsidian is gently shines
第3章 待ちきれなくて
(今日も先に来てるだろうね、きっと)
そう思えば、ナナバは気合いを入れて腕まくりする。
「よし、それじゃいつでも出られるように、
ちゃちゃっと朝御飯しちゃおう。
……、…ぁ、
…しまった…」
「?」
「ごめん、果物切らしてたの忘れてた」
セチアが軽く背筋を伸ばして見たキッチンには、野菜やバゲットが綺麗に並んでいるが…ナナバの言うように果物のシルエットは、ない。
「珍しいね、ママがうっかりなんて。
いいよなくても。平気。
そうだ!帰りに私買ってくるよ」
「いや、私が食べたい。
…ちょっと朝市行ってくるね。
セチア、パパ起こしてあげてくれる?」
「分かった」
頷きあい、二人は同時に立ち上がる。
ナナバは朝市に向かうため、セチアは未だ夢の中であろうエルヴィンを起こすため。
「あぁ、そうだ。
ついでにね、出来るところまででいいんだ、
少し進めておいてもらえるかな」
「了解。任せて」
小銭入れを手に、ナナバがドアノブに手を掛ける。
「それじゃ、行ってきます」
「はーい!行ってらっしゃい」