obsidian is gently shines
第3章 待ちきれなくて
『ママ!リヴァイまたいたの!』
いつだったか、デートから帰ったセチアは開口一番そう声を張った。
『またいたって…
二人で出かけたんだから、当然じゃない?』
そう、この日もセチアはデートをしてきた。リヴァイと。
要するに、リヴァイはセチアと会っていた。
誰が聞いても思う。
その場に二人が居ればどちらも"いる"のが当然であり必然だろう、と。
『そうじゃなくて!
早いの、いつでも』
『早い…』
『待ち合わせの時間より、絶対早く来てるの』
『あぁ、そういうことか。
リヴァイらしいね』
そう、リヴァイは時間に正確だ。
誰かとの待ち合わせも、会議も、書類の提出期限も、何一つ破ったことはない。
そんな彼だから、遅れるなどあり得ない。
勿論、時間ぎりぎりということも、ない。
しかし、それにしても毎回必ずセチアより先に来る。
5分前然り。
10分前然り。
30分前然り。
今までにセチアを待たせたことは、皆無。
人類最強は、時間に正確。
そして、この上なくまめでもあったのだ。