第1章 〜Encounter〜
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朝の日差しと強烈な喉の渇きで頭がはっきりしてくる。
夢見は良かったが、起きると最悪だ。
頭は痛いし、化粧を落とさず寝てしまったのか瞼が引っ付いて何より開きにくい。
(水飲みたい)
そう思い瞼を一生懸命上げると、自分の部屋とは似ても似つかない構造の部屋が視界に広がる。
「え……?」
一瞬誰かの家で寝てしまったのかとよぎり戸惑ったが、脳は鮮明に覚えている。
"昨日の夢に出てきた部屋だ"
「いっ、いやいや、そんな訳ないって…。」
布団を剥ぎ、体を起こす。
昨日の夢は夢じゃなかったと言う事か。
それともまだ夢を見ているのか。
いや、今はシラフ状態だ。さすがにこれが夢じゃない事くらいほっぺたをつねらなくても感触で分かる。
だが現実となると、下着のままお店から外に瞬間移動した事になる。
外、と言うより
広場も建物も進撃のアニメで出てきた造りにそっくりだった。
なにより本物らしきエルヴィンにも会った。あの人物を真似出来る人などこの世に居るのだろうか?
かなり手間の掛けたドッキリだとしたら私をこんなにも混乱させた仕掛け人を呪ってやりたい所だが、生憎こんな事をしてくれる友達は居ない。
どういう状況か全く分からず辺りをキョロキョロしていると、扉を叩く音が静かに部屋に響いた。
「っ…はい!」
「失礼するよ。」
(エルヴィンの声っ!!)
扉から現れた人物はやはり、昨日見たエルヴィン・スミスだった。
「やっ!!えっ?!」
「まぁまぁ、落ち着きなさい。」
到底無理な話だ。お酒が入っていた時は夢だと思い込み好き勝手出来たが、現実と分かってしまったからには落ち着ける訳が無い。
仕掛け人を呪ってやりたいと思った事を訂正する。
これがもしドッキリだとしても、ここまで進撃の世界を再現してくれた人に感謝すべきだ。
「うぅッ……。ムリ…。ホントに無理…。」
「はは…泣くくらい私が怖いか?」
大泣きしている私を落ち着かせるようと、コップに水を注ぎ渡してくれるエルヴィン。
「ぁりがとう…ございます…ッ!怖いとかじゃ、無いので…!寧ろ、その逆ですっ!」