第1章 〜Encounter〜
私に着替えが出来るよう後ろを向いてくれたエルヴィンが、背中を向けたまま話し掛けてくる。
「それで…君はどこから入り込んだ?身体を見た限り兵士では無さそうだが…。」
身体を見た、と言う単語は恥ずかしいが、おそらくエルヴィンは筋肉の付き方や立体機動装置のベルトの痕が体中に見当たらない、と言う事を言いたいのだろう。
「入り込んだ訳じゃないです。これは夢なんですから…。」
未だに現実とは思えない私はここでも酔っているのか
思っている事をそのまま言ってしまった。
こんな事を言ってしまえば、夢から冷めてしまうかもしれないのに。
「夢…?」
振り返るエルヴィンと視線が交わる。
丁度着替え終わった私を見たエルヴィンは、可笑しそうにフッと笑った。
「やはりでかいな。」
この衣服はエルヴィンの物だろう。大きさで物語っている。上下の服を渡されたが、上の服だけでワンピースの役割をこなしている。
下は履いてみたものの、ズルズルと腰から下がり落ちたので止めておく事にした。
「し、仕方ないですよっ…!ジャケット、ありがとうございましたっ!」
先程までのエルヴィンとは打って変わった表情に、心拍数が速くなるのを感じる。
その顔を直視出来なくなった私は俯きながら
ジャケットと要らなくなってしまったズボンを渡した。
「アルコールの匂いがするが、酒でも呑んでいたのか?」
裸であんな場所に居たのが余程可笑しかったのか
笑いながら私を酔たんぼ扱いしている。
貴方は私の夢に出てきた登場人物、なとど言っても
一切信用してくれないだろう。
「お酒は呑んでましたけど、違うんですってばっ!」
笑うエルヴィンに必死に説明しようと身を乗り出したその時
「っ……!!」
いきなり腰を引き寄せられ、エルヴィンの整った顔が視界いっぱいに広がる。
「何が違うんだ?あんな格好のまま私に着いて来たと言う事は、こう言う展開を期待していたんだろう。」
服を捲りあげようと下から手が入ってくる。
「ちょっ!エルヴィン!!!」
咄嗟の出来事のあまり呼び捨てしてしまうと、エルヴィンは胸に到達しそうだった手を止め、真剣な表情で固まってしまった。