第1章 〜Encounter〜
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支えられていた感触が急に無くなり、前に倒れそうになった私は咄嗟に地面に手を着く。
「…っ痛ったぁ…。ごめん…飲み過ぎちゃった…。って、あれ…?」
床にぶつけた膝を擦りながら頭上を見ると、先程までそこに居た筈の後輩の姿が無い。
と言うより何故か私は薄暗い広場の様な場所にポツン、と一人座っていた。
(え?私後輩と話してたよね?)
「寒っ!!」
下を見ると、やはり下着のままだ。
(酔って頭おかしくなった?!私下着で外ウロウロしてたの?!)
「え、ヤバイ。どーしよ…。ここどこよ?」
困惑した私は両手をクロスさせ、胸を隠しながら二の腕をさする。
周りを見渡してみるが、こんな場所は家周辺で全く見覚えが無い。
下は石畳で、少し遠くを見ると松明の様な物で辺りを照らしているようだ。
初めて見る明かりに違和感を覚えるが、周りがよく見えなかった私はそこまで素足で歩いた。
「本物の火じゃん…家事になったらどーすんの…。」
所々にある松明の明かりを頼りにまた歩いてみると、今の日本の時代にはそぐわない建造物で広場を囲っている事が分かった。
中世ドイツの様な作りをしている建物を不思議に思いながら近くの段差に腰を下ろす。
(進撃の巨人のゲームでこんな広場あった気がする)
頭にそうよぎったが、酔っている自分を今は責めたい。
暗過ぎてどこからこの広場を抜け出せるのかも分からない。
朝が来ても建物から人が出て来てこの格好を見られてしまうだろう。
「最悪…。もうお酒辞める…。」
諦めかけ頭を抱えた、その時だった。