第3章 〜welcome party〜
エルヴィンは今回の壁外調査で敵の正体を暴き、その成果でエレンの所属を認めさせるつもりだったはずだ。
今言った作戦が成功し、女型の巨人を捕獲したとなると、エルヴィン達が王都に召喚される事も、エレンの引き渡しも無くなるだろう。
何としてでも、うまくいって欲しい。
「ナナが言った通り、アルミンという新兵にも明日、詳細を話すとしよう。これから先、兵団の大きな力になると見える。」
「はい!アルミンは次期だっ…!!いえ、本当にすごいんですよ〜!いっぱい活躍しますし…!」
"次期団長"と言いかけてしまい、顔が青ざめていくのが分かる。
「ふ…。ナナはやはり素直だな。…さて、話はこの辺にして歓迎会の準備に取り掛かるとしよう。」
「クソメガネが巨人の正体をお前に問い詰めて、歓迎する暇もねぇだろうがな。」
咄嗟に取り繕ったが、エルヴィンには見透かされてしまったかもしれない。
「はは…それは覚悟の上ですよー…。」
先程漏らした言葉に後悔し苦笑いをしていると、エルヴィンはフッと微笑み私の頭を撫でた。
「兵士の通りが少なくなったらまた迎えに来るよ。それまでに夕食を済ませていてくれ。」
エルヴィンの視線の先を見ると、先程持ってきてくれた食事のトレイが机の上に置かれている。
「あっ、ありがとうございます、頂きますっ。」
そうしてまたエルヴィンは、歓迎会の準備をすると言ってリヴァイの部屋を出て行ってしまった。
「お前はあの部屋で食べろ。エルヴィンが来たらノックする。それまで待機だ。」
「わ、分かりました。」
また気まずい空気が流れる。
逃げるように食事を取り、隠し部屋に続く棚を動かしていると、リヴァイが口を開いた。
「…結果は誰にも分からねぇが、お前の有り得ねぇ話のお陰で、俺はあいつらの死を全力で阻止する事が出来る。」
「へ…?」
「完全に信用した訳じゃねぇ。……たが感謝する。」
(へ、兵長が私に感謝してる?!)
「い、いえ!!滅相もございません!!では、また後に!!」
嬉しさと恥ずかしさと緊張が混ざった私は、そそくさと隠し部屋に閉じこもった。