第2章 〜Encounter with puppy〜
エルヴィンとリヴァイの自室へ向かう。
「この事、兵長は知ってるんですか…?」
「いや、それがまだなんだ。今夜酒の力を借りて言おうと思っているよ。」
「えぇ?!それはまずいですよ!絶対却下されます!」
「はは、ナナはリヴァイの性格をよく知っているな。」
かなりの潔癖という事はもちろん知っている。
昨日後輩と話していた事が現実になるとは、まさか思いもしなかった。
このままだと毎朝、一日の始まりが
『全てやり直せ』から始まる事になる。
「あの…他に空いている部屋で見つからない場所って無いですよね…?」
「あぁ、一人部屋は空いていないな…。こんな扱いはしたくは無かったが…。君の素性を公に出来るまでは風呂も空いている時間に入らなければならない。」
申し訳無く話すエルヴィンに心が痛くなる。こんなにも私の事を考えてくれているのに、軽率な発言でエルヴィンを困らせてしまっている。
謝らなければいけないのは私の方だ。
「すみません…気を遣わせてしまって。」
「君が謝る必要は無い。嫌がる大半の理由はリヴァイの潔癖のせいだろう?リヴァイの部屋が嫌なら俺の部屋に来るといい。掃除をしなくて済むからな。」
悪戯っぽく口角を上げ、顔を覗き込んで来るエルヴィンにハッとする。
「っ…大丈夫です!掃除、頑張りますからっ!」
「ハハっ、君は本当に素直で面白いな。さぁ、着いたよ。」
リヴァイの自室に辿り着き、扉を開く。
やはり清潔感のある整頓された部屋を見ると、毎日掃除されている事が一目で分かる。
「確かこの本棚の奥だ。」
本棚を退かすのを手伝い、隠し部屋の扉を探す。
「あっ!ありました!」
古い扉を開けると、中は六畳くらいの綺麗な部屋に、ベッドと机だけがポツンと置かれていた。
「リヴァイはここも手入れしていた様だな。」
「さすがですね…。」
「それでは早速本題に入ろうか。ナナ、出来るだけ詳しく二日後の事を教えてくれ。」
「分かりました。」