第2章 〜Encounter with puppy〜
何故か嬉しそうに答えている女性を不思議に思う。
強めの語尾に、優しく微笑んだ顔は
嘘を言っている様には見えない。
俺自身未だに自分の事を分かっていないのに、どうしてこの人はこんなにもキッパリと言い切れるのか。
呑み会は正直どうでもいいが、この人の話はもう少し聞いてみたい気がした。
「フッ、愚問だったな。」
「おっけー!じゃあエレンは参加で決まりだね!」
「チッ、ガキが呑むもんはねぇぞ。」
「エレンは呑んじゃダメだよっ?」
隣でニコニコしながら話し掛けて来るナナの言葉に、違和感を感じる。
なんでガキ扱いされてんだ?
「俺は呑みませんけど…つーかあんた俺より年下だろ?」
その言葉を言い放った瞬間少しの沈黙が続き、ハンジさんが信じられない内容の言葉を発した。
「エレン、ナナは多分、エレンより十歳くらい年上だと思うよ?」
「……え?」
こんなに頻繁に笑っている団長を見るのは初めてかもしれない。
何度見もしてしまっている俺を見ては、小さく吹き出している。
「もー、ハンジさん!十歳も変わらないですよっ!エレンが十五歳だから〜…九歳差くらいです!」
焦って言い直しているが、対して変わらない。
同い年くらいだと思っていた俺は、衝撃の事実に動揺を隠し切れずに居た。
それともう一つ。
(…何で俺の歳、知ってるんだ?)
「エレン、用が無いならさっさと訓練場に戻れ。」
「はっ、はい!!」
聞き出そうと思ったが、兵長に怒られた俺は当初の目的を忘れ、渋々執務室を後にした。