第1章 〜Encounter〜
まさかあんな大事件が明後日決行されるなんて思いもしなかった私は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。
という事はエレンの巨人化は皆知っていて、女型の巨人出現に関してはまだ知られていない事になる。
「てめぇは何が起きるか知ってるのか。」
「はい…。」
皆が顔を合わせる中、エルヴィンが口を開く。
「君の名前は?」
「ナナ…です。」
「ナナか…。君は調査兵団の大きな力になる。もし良ければ、当分の間ここに居て欲しいんだが…。」
私の元まで来て話してくれるエルヴィンに
私も立ち上がり応えようとした、その時。
「うわっ!」
隣に居たリヴァイにグッと手首を抑えられ、ソファに転がり戻されてしまう。
手を引かれた勢いで頭がリヴァイの肩にぶつかり、清楚感のある石鹸の匂いが鼻に薫った。
「てめぇが入れ込んでるかどうかは知らねぇが…。
ここに居て欲しいも何も、こんな希少価値のある奴今すぐ地下室にでも閉じ込めておけばいいじゃねぇか。」
早口で喋るリヴァイの言葉にドキッとする。
閉じ込められるのか?と一瞬不安になったが、既に腹は括っていた。
「あの…皆さんが良ければここで居させてもらっても良いですか?帰る手立ても見つかってないですし…。こんな私でも、お役に立てるなら…。」
頭上に居るリヴァイを恐る恐る見上げると
スっと顔を逸らされた後
掴まれていた手首が解放され、ソファに座り直した。
「いいの?!」
ハンジが興奮気味で立ち上がる。
「そう言ってくれるとこちらは助かるが…いいのか?」
「もちろんです!皆さんの事は大好きなので。」
「それは嬉しいなぁ〜!まだ現実味は湧かないけど、君は人類の希望、そのものだよ!!」