第1章 あの夏の日の女の子
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あれから何日も経たないうちに友夏は一人でまたうちに来た。
『焦ちゃんと遊ぶの楽しすぎてまた来ちゃった。
今日は誰にも言わずに来ちゃったからあまり長い間ここにいれないけど、一緒に遊ぼう!』
「誰にも言わずに来たって…大丈夫なのか?」
『大丈夫大丈夫!夕方までには戻るから』
「分かった。じゃあまたヒロバトやるか?」
『うん!』
俺はまた兄さんのコントローラーを友夏に貸した。
『そういえば、焦ちゃん。このコントローラーって焦ちゃんのなの?』
「俺の兄さんのだ。」
『お兄さんいるんだぁ〜焦ちゃんって何人兄弟なの?』
「4人兄弟、上に兄さん2人と姉さんが1人」
『そうなんだ…いいな、兄弟たくさんいて』
「いいことばかりじゃない。うちは個性婚で俺は成功作として厳しく育てられて…友達と遊ぶって事もあまりなかった」
『そうなんだ…私のところも個性婚だよ。でも私は失敗作、無個性なんだ…うちには最近お父さんの彼女さんが来るけど、なんか居心地悪くてね〜私、焦ちゃんとここで遊んでる時が一番楽しいの』
そう言って苦笑いする友夏を見て自分とは違った意味で家庭環境に問題を感じてることを悟った。
『あ、焦ちゃん!あのね今日私カメラ持ってきたんだ。一緒に写真撮ろ』
「何で写真?」
『焦ちゃんと撮りたいからだよっ』
「………意味わからねぇ」
『分かった、じゃあヒロバト5回勝負で私が勝ったら写真撮ろう!私は一番強いオールマイトは使わないって縛りルール付けてもいいよ』
「しょうがねぇな…じゃ俺が勝ったらどうする?」
『んー…焦ちゃん勝ったら、焦ちゃんに撮れた写真一枚あげる!』
「結局それ写真撮ってるじゃないか」
『へへへ〜そだね!』
結局この時の勝敗は忘れたけど、写真を撮った。
そしてカメラから出てきた写真を手渡された。
『はいっ!これ焦ちゃんの分ね』
「……ありがとうな」
♪〜♪♪〜♪〜〜
5時を知らせるチャイムが鳴ってそれを聞いた友夏の表情がどんどん沈んでいく
『もうこんな時間なんだね…私帰らなきゃ
焦ちゃん、ありがとうね。楽しかった、ずっと焦ちゃんと遊んでいたかった…さようなら』
泣きそうな顔でそう言って彼女はうちを出て行った。
これが俺と友夏の最後の記憶