第1章 あの夏の日の女の子
そのあと俺達は蕎麦を茹でて食べた。
『焦ちゃん、これ美味しいね!』
「…友夏蕎麦食べたことないのか?」
『うん、いつも家の中にあるお菓子適当に食べてたから…』
俺はその言葉を聞いて友夏の家庭環境が少し気になった
「俺の家もあまり家庭環境いいとは言えないから、答えたくなければ答えなくて良いけど…友夏の家ってどんな感じなんだ?」
『……どんな感じって?』
「家族とか」
『お母さんは私が4歳の頃事故で死んで、お父さんと二人暮らしなんだ。』
友夏を見ていると季節外れな厚手の長袖パーカーからチラッと見えた手首にあざや切り傷のようなものを見つけた。
「友夏、その傷…」
俺が友夏に触ろうとすると友夏がビクッと反応して半身後ろに下がって震えていた。
『ひっ!…っはぁ…はぁ…』
「…ご、ごめん」
『う、ううん…私こそごめん…食べ終わったらまたゲームの続きしようか!』
「そうだな…」
そのまま俺達は何も話さず蕎麦を平らげ、ゲームをしていたらクソ親父が帰ってきて友夏を迎えにきた。
『じゃあね、焦ちゃん!私今日すごく楽しかった!!ありがとうね〜また遊ぼうね』
「あぁ、またいつでも来い。待ってる」
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「………とまぁ、この日はもうこれで帰って行ったんだ。」
「…友夏ちゃんそれ絶対お父さんから虐待受けてるよね?」
緑谷がそういうと切島がだよなぁと同意する。
「でもなんでエンデヴァー、自分の家に友夏ちゃん連れてきて轟と遊ばせたんだ?」
上鳴が疑問を投げかける。
「俺もずっとそれが気になってたんだ…なんで連れてきたのか、それも俺しか家にいない時に来るんだ。」
「え!?って事はあの後も来たの?」
緑谷が驚いて聞いてきた
「あぁ、あれから何日も経たないうちにもう一度だけ…しかも今度は1人で来た。」
切島は少し考えた後こう発言した。
「1人で来れるようなとこにその子住んでたって事か?」
「分からない。けどその日も同じ服装をしてて同じゲームをして遊んだ事は覚えてる。」