第8章 友達記念日
俺は友夏になんて声をかければいいのか分からなくなった。
ヒーローとしては犯罪者は捕まえなければいけない、でも友夏はそれを自分の意志でやったようには思えない。
強要されていたのなら友夏だって被害者だ。
でも、確実に分かっていることは…
「友夏を保護する。これ以上あんた達のところにいさせられない。」
ツバクローはそう言って友夏の手を引いて歩く。
「そうはさせない…友夏にはこいつの心臓を抜き取ってもらわなきゃいけないんでな」
クロノスの社長はテレポートの個性を使って友夏を自分の元へ転送した。
「友夏、仕事だ。誰の臓器抜くことになっても…これは仕事だから仕方ないんだ。闇医者に言われた心臓の納期が迫ってるんだ…さぁ」
「ダメだ!それ以上罪を重ねるな!!」
俺は友夏にそう叫ぶ。
友夏の手からメスが滑り落ちる。
カラン…
友夏はその場に膝をつき、子供のように泣きじゃくる
『できないよ…だって、今までどんな酷いことされて憎んでても…家族だから…できない』
友夏の父親は友夏の落としたナイフを拾い、クロノスの社長を刺した。
「っぐぁあ」
「誰の臓器抜くことになっても仕方ねぇんだろ?ならお前が死ねや!!」
友夏の父親がもう一度クロノスの社長を刺そうとした時ツバクローが止めに入った。
結局この後友夏の父親とクロノスの社長が捕まった事により事件は解決。
ツバクローは俺たち雄英生を巻き込んだ事によって、責任を問われヒーロー免許を剥奪された。
「ツバクローさん本当に申し訳ありませんでした。僕らが関わったばかりにヒーロー免許剥奪まで…」
「良いのよ、私もそろそろ潮時かなって思っていたし。
ヒーロー辞めるのに都合のいい理由探してて君達を利用したってだけだよ」
俺たちは、ツバクローに守られて今回は全員お咎め無しだ。
だが、友夏だけはどこか腑に落ちない顔をしていた