第8章 友達記念日
『……私、やっぱり警察に行くよ。自分の罪を清算しなきゃ』
「友夏…」
『焦ちゃん、私自分の意志じゃないにしても人を殺してきた。
これは事実だから、こんな汚い自分が焦ちゃんと会う資格なんて無いと思ってた。けどね本当は焦ちゃんが私に会いに来てくれて嬉しかった…焦ちゃんの心の片隅に私はちゃんと生きていたんだって思えて嬉しかった。』
「俺は写真見て思い出して友夏の事を調べて今ここにいる。もっと早く俺がお前を見つけてあげていればお前はこんな罪背負わなくて済んだかもしれないのに…」
『焦ちゃんが気に病むことは何も無いよ。焦ちゃんはちゃんと私に会いに来てくれた。それだけで十分だよ…この8年でいろいろ変わっちゃった、焦ちゃんはヒーローで私はヴィラン…最後はやっぱり焦ちゃんに捕まえて貰いたいな。』
そう言って両手を広げた友夏を俺は抱き寄せた。
「捕まえた。」
『へへへ…捕まっちゃった。ねぇ焦ちゃん私が刑務所から出た後も……なぁんてね、やっぱりいいや!気にし
「お前が刑務所から出た後もずっと俺と友夏は友達だ。
だから、安心しろ…お前ならきっと自分の罪を清算できる、俺は友夏をあの家でずっと待ってる」
『…ありがとう。そしたら、またあの家でヒロバトやって晩御飯にお蕎麦食べ……っ…ひっく…ぅう』
友夏は俺の腕の中で泣く。
『戻りたいな、あの頃に…焦ちゃんと遊んだあの二日間が一番楽しかった。焦ちゃんとの思い出があったから私ずっと生きてこれた。』
「……お前が罪を償った後はもっと楽しく過ごそう。これからを強く生きていくために」
『うん…ねぇ焦ちゃん、今日何の日だか覚えてる?』
「あぁ、覚えてる。…友達記念日だ。」
俺と友夏の友達記念日。
それは、戻りたいと思えるような幼い日の楽しい思い出であり強く生きる覚悟を決めた日。
END