第1章 あの夏の日の女の子
あれは確か、俺が小学2年生の頃の夏休み。
その日は兄さんや姉さんは友達の家に行ってて家には俺1人しかいなかった。
「焦凍、来い」
突然家に帰って来たクソ親父に連れられて玄関まで行くとそこには俺と同い年くらいの女の子がいた。
女の子は季節外れな厚手の長袖パーカーにダボっとした大きめのジーパンにブーツという暑苦しい格好。
「俺の親戚の子だ、俺が仕事から戻るまでの間相手してやれ」
「はぁ?俺はお前の指図なんか受けねぇ」
「いいから黙って相手してろ」
そう言ってクソ親父は女の子を置いてまた家を出た。
『あの…ごめんね、急に』
「構わない……それよりその格好暑くねぇのか?」
『大丈夫!個性の関係で脱げないだけだから気にしないで』
「ふーん…クソ親父の言う事聞くのは嫌だけどあんたに罪はないからな。一応自己紹介しとく、俺は轟焦凍だ」
『焦凍くんか』
「くんはいらねぇ」
『そう?…んじゃあ〜焦ちゃん、焦ちゃんだ!へへへ〜私友夏!仲良くしようね〜』
「焦ちゃんて……まぁいいかよろしくな友夏」
『へへへ〜嬉しいなぁ!私お友達できたの初めてなんだ!』
「……俺もだ」
『そうなの?じゃあ今日が2人の友達記念日だね!』
「友達記念日、か…悪くないな」
俺は友達と遊ぶことはおろか、女の子と遊ぶ事にも慣れてなかったから何して遊べば喜ぶか分からなくてとりあえず友夏と当時流行ってた激突!ヒーローバトルというゲームで遊んだ。
友夏に兄さんのコントローラーを貸して2人で対戦ゲームをしたが、友夏はゲームをやったことがなかったらしく最初は操作方法に苦戦していたがものの数分で操作方法を覚えて後半は友夏の一人勝ち状態だった。
『焦ちゃん!これ楽しいね〜』
「そうか、気に入ったなら良かった。」
『今日ね、エンデヴァーに夕飯も食べてくようにって言われてるんだけど…』
「…構わないけど、今日は兄さんも姉さんも友達の家に泊まりに行ってるし母さんも入院してて俺1人だから大したもの食べさせてやれないけど良いのか?」
『お迎えが来るまで焦ちゃんと一緒にいれれば私楽しいから良いよ!』
「……そうか」