第3章 あの夏の日の男の子
『はいっ!これ焦ちゃんの分ね』
「……ありがとうな」
♪〜♪♪〜♪〜〜
私が焦ちゃんの家に着く時間が少し遅かったせいかものの3時間ほどで5時を知らせるチャイムが鳴ってそれを聞いた私は焦ちゃんと離れるのが嫌で少し泣きそうになった。
『もうこんな時間なんだね…私帰らなきゃ
焦ちゃん、ありがとうね。楽しかった、ずっと焦ちゃんと遊んでいたかった…さようなら』
もう焦ちゃんと会えないかもしれないと思うだけで胸が苦しくて、焦ちゃんの家を出る足がとても重たく感じた。
これが私と焦ちゃんの最後の記憶
それから電車の駅まで歩いた。
歩いてる途中何度引き返したいと思って振り返っては向き直る、振り返っては向き直るを繰り返したことか…
家に着く頃には8時を回るかもしれない。
あまり遅くまで出歩くとまたお父さんに殴られる。
そう自分に言い聞かせて戻りたい気持ちを必死で堪えた。
駅まで付いて20分電車に揺られる。
焦ちゃんと撮った写真を見て私は涙が止まらなくなった。
もっと焦ちゃんと一緒に遊んでいたい。
気持ちを押し殺しながら新幹線に乗り換えて、後戻りができなくなってからも焦ちゃんが恋しくてずっと泣いていた。
家に着いた頃には8時を過ぎていた。
お父さんは遅くなるはずだったが仕事が順調に進んで予定より早く帰っていて玄関前で仁王立ちして私を待っていた。
「友夏!こんな時間までどこにいたんだ!?」
『………友達のとこ』
「友達だぁ!?お前にそんなもん必要ないっ!!俺の晩飯も作らねぇでこんな時間までほっつき歩きやがって!!」
お父さんは私の腹を殴った。
『うぐっ…げほ、ごほ』
お父さんは私のリュックを拾い上げて中を物色する。
「俺のカメラまで勝手に持ち出しやがったな!これいくらすると思ってんだ!!…財布にこんな大金まで……俺の金だろ!?俺の金にまで手をつけやがったのか!?」
『違っ…それは私のっ…』
「親に口答えするなっ!」
また殴られて今度は口から血が出てきた。
『ごふっ…ぐっ…うぅ…』