第1章 可愛い嫉妬 * 黄瀬涼太
「それで今日不機嫌だったの?」
『…うん。』
申し訳なさそうに俺に抱きつき、顔を隠している。
そんな彼女の頭を梳くように優しく撫でる。
一花は普段割と淡白な方だから、今まで束縛とかはされた事がない。
でも実は我慢させてたのかも。
高校生から部活で時間が取れなくてもずっと一緒に居てくれたから勝手に勘違いしていたのかもしれない。
「一花。」
『なに?』
「今どうしてほしい?」
一花がゆっくりと顔をあげ、視線が絡み合う。
少し熱が籠もったような瞳に、柄にもなく心臓がドクドクと音を立てた。
『キスして…?』
その言葉に甘えて、ぽってりとした紅い唇に自分のそれを合わせる。
『…ん。っあ、…はぁ。』
ちゅく、ちゅく。
静かな二人っきりの部屋に微かな音が響く。
彼女の言葉に完全にスイッチを入れられた俺は、夢中で一花の柔らかい唇を貪る。
今まで何度もしてきたキスも興奮しているからなのか、めちゃくちゃ気持ち良くて。
熱く蕩けた唇を重ねればそこから溶けてしまいそうな感覚になる。
柔らかい舌を擦り合わせる度に聞こえる唾液の音や、酸素を取り入れようと漏れる吐息が興奮を煽る。
時折、唇や舌に吸い付いてみたり上顎を愛撫するように擦る。
『んんっ…、あっ。』
最後に下唇にちゅぅっと吸い付き唇を離す。
『…あっ。』
淋しそうな声を漏らす一花が欲しがるような視線を送ってくる。
すると、グッと顔を近づけられ吐息がかかるほどの距離で囁かれる。
『涼太、もっと…。』