第2章 俺だけを見て * 緑間真太郎
『ハァー…。』
思わず溜息が溢れる。
目敏い高尾君はすぐさまそれに気付き、
「なるほど真ちゃんのことか。」
と一言。
「真ちゃんが構ってくれなくて寂しいの?」
『まぁ、ストレートに言えばそういうことかな。』
でも、こんなこと言って真太郎に迷惑かけたくないし…。
「別に真ちゃんは迷惑なんて思わないと思うぜ。」
高尾君は私の心が読めるのか…。
まるで見透かしたように、頼もしい笑みを浮かべてそう言う。
「真ちゃんはああ見えて一花ちゃんのことめちゃくちゃ大事に想ってるから。」
『高尾君…。』
「だから心配しなくてもだいじょーぶ。いざという時はこの高尾ちゃんに任せなさい!」
そう言って私の頭をポンポンと叩くと、自主練に戻っていった。
『大事に想ってる、か…。』
「何を一人で話している。」
『へっ?…しん、緑間君!』
「今日はもう終わった。帰るのだよ。」
『う、うん。』
強引に手を引かれ体育館を後にする。
それぞれの更衣室で着替え、校門で待ち合わせする。
校門に向かうと、もう着替えを済ませた真太郎がいた。
『ごめん、待たせちゃった?』
「いや、そんなに待っていない。」
『そう、なら良かった。じゃあ行こっか。』
「あぁ。」