第2章 俺だけを見て * 緑間真太郎
ダムダム、キュッ
部活が終わりそれぞれの自主練が始まる。
『緑間君、タオル。』
「あぁ、ありがとう。」
緑間君か…。
マネージャーになってから、真太郎から告白されて付き合うことになった私達。
お付き合いしていることは先輩達や同級生も知ってるし、何の問題もない。
でも、真太郎は変なとこで真面目だから
「部活中は他の部員と同じように名字で呼んでくれ。」
なんて頼まれた。
無理に反対すること意味もなかったので、承諾したけど今思えば他人みたいでちょっと寂しい。
真太郎はクールだ。
他のカップルみたいにベタベタしたがらないし、手を繋ぐのだって私が頼まないと繋がない。
私もあんまりベタベタするのは苦手な方だから、そんなに不満に思ったことはないけど、
あそこまで冷たくされるとなんだか不安になってくるのだ。
「一花ちゃーん。どしたの?元気ないじゃん。」
『…えっ?別に何にもないよ。』
「うーそばっかり。寂しいですって顔に書いてあるし。」
高尾君に顔を覗き込まれる。
「なんかあったらいつでも相談してよ。」
『別に何もないってば。』
「この、天邪鬼めっ!」
『…っいたたた!』
高尾君にちょっと強めに頬をつねられる。
思わず声が出てしまい、部員のみんなにチラチラ見られた。
それでも真太郎は黙々とシュートを打ち続けている。
…やっぱり寂しいんだな、私。