第2章 呑み込んだ言葉は渦の中《夢野 幻太郎》
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その言葉は、今の私を煽るのには
充分すぎる力があった。
頭を撫でていた手を振りほどいて
涙を堪えながら夢野先生を見る。
「叶、小生は叶を
怒らせる事をしてしまいましたか?」
「…その、余裕のある顔が、
気にくわないです!!!」
タイミング悪く、呼び鈴が鳴る。
さっき頼んだご飯が来たのだ。
はいはい、まずはご飯を食べて
落ち着きなさい。
そう言って私を座らせ
ご飯を取りに行った。
目の前にはさっき頼んだエビピラフ。
無言で私はそれを貪る。
それを夢野先生は頬杖をつきながら眺めた。
「何見てるんですか」
「美味しくなさそうに食べるなー。
と、思いまして」
「夢野先生そろそろどつきますよ」
「おー!怖い怖い。
しかも、どつくのは小生の方ですよ」
この目だ。
なんて官能的な瞳を向けてくるのだろう。
「ほら、食べるなら食べてしまいなさい。
さもなければ叶の事を食べてしまいますよ」
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