第2章 呑み込んだ言葉は渦の中《夢野 幻太郎》
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なんて遅いお昼だろう。
子どもだったらおやつの時間である。
「おや、素羅先生。
今日はよく会いますね。
小生も先程打ち合わせを終えましてね」
彼はどこから湧いてくるんだ。
そんな考えが顔に出ていたらしい。
隠すつもりもなければ余裕もなかった。
お腹が空いた。と言う前に
私の腹の虫が鳴り出した。
それを聞いた彼は小さく笑った。
「小生がご馳走して差し上げましょう。
ホラ、行きますよ叶?」
たまに名前で呼ばれるのがくすぐったい。
正直、こんなにも甘い声で何度も抱かれて
そしてこの外面の良さ、持ち前のユーモア。
セフレにこんな感情は不要だ。
そう思っても収まらないのは
この気持ちが好意であることを知っているから。
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