第1章 俺を愛して《観音坂 独歩》
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お礼?独歩の事でかな?
口に出そうとおもったが、独歩の
機嫌も良さそうだしやめておいた。
「…叶、キス、したい」
「ん、———っ」
貪る様な口づけ。
リップ音と互いの吐息が部屋に響く。
多分、凄い酔っ払ってる。
独歩の顔が真っ赤だ。
なんて思っていたら押し倒されて
視界には見慣れた天井に独歩。
「………もっと、飲もうか」
「っえ、うん」
そう言ってさっさとウイスキーを開ける。
私を起こして飲めよと言わんばかりに
コップに注ぎ私の前に置いてきた。
「ストレート?」
「うん、一二三がストレートのが
美味しいって言ってたから。
ダメそうならロック…割ってもいいかも」
「じゃあ、ストレートで飲んでみるよ」
ウイスキーのストレートなんて
初めて飲んだよ。
喉が焼けるくらい熱い。
「…っあ、美味しい」
「そう?なら、良かった」
そう言って優しく笑う。
可愛くて思わず頭を撫でると、私の手に
全てを預ける様に甘えてくる。
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