第5章 あなたのためなら
「……この“大海賊時代”を始めた張本人、…そして数々の悪事を犯したと言われる人の子供が生きてるのだとしたら…」
本当に海賊王は悪事を犯したのだろうか?
ローだって、エースだって、
全く悪い人ではないのに。
私は何度助けられただろう?
何度支えられただろう?
「……世の中の人々はその子供を…怖がり、恨むと思うわ。」
どんなにいい人でも、
その人が海賊であれば“悪い”と決めつけられる。
――――“海賊という“悪”を許す訳にゃあいかん”
いつかのサカズキの言葉が蘇った。
――――――――――――――
「……世の中の人々はその子供を…怖がり、恨むと思うわ。」
リンはそう言った。
予想通りだった。
リンも、“エースと言う名の1人の海賊”としてなら仲良くしてくれるのかもしれない。
しかし、“海賊王の子供”となったら―――
俺のことを嫌うだろう。
誰からも愛されない。
愛されてはいけない存在だから――――。
「……そうだよな。悪ィな、変なこと聞いちまって。」
今自分は、どんな顔をしているだろう。
笑っているつもりでも、
顔が引きつっているのが分かった。
「……でも…」
その時、リンがぽつりと呟いた。