第6章 何のため?誰のために?
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「やっぱキャプテンなりに考えてんだろ。昔のこととかも思い出してるんじゃねェのか?」
「それは分かるけど…キャプテン全然喋ってくれないし、おれ心配なんだよ」
一向にローが出てこない部屋を見つめて、ベポがため息をこぼした。
ここ数日、ローはいつもに増して部屋に篭もるようになっていたのだ。
「やっぱほら、過去のことと被っちまうんだと思うぜ。だからキャプテンのためにも――」
“リンを助けねェとな”
そう言おうとした口が止まる。
ローが部屋の前に出てきていたのだ。
「…悪い、気使わせたな」
「そんなことないッス、ただおれらは…キャプテンと、リンが心配でたまらなくて。」
そう語るシャチの傍に、クルー達が集まる。
そうだ、そうだ、と言うように頷く者もいた。
「ペンギンの言う通りだ。過去のこと、コラさんとどうしても被る。だが、これが気になるのもある。」
ローが広げた手の上には、リンが作ったと言われたブレスレット。
力を抑えきれずに溢れて来そうなほど、相変わらずきらきらと輝いていた。
“それ、ただのブレスレットじゃねェ。リンはおまえに…あいつの1部を預けてんだよ。”
「火拳屋の言う言葉が気になった。考えても分からねェことばかりだ。ただ分かるのは、」
やっぱり信用されてない証拠か、
どうしてもそう考えてしまうローがそこにいた。
「リンはおれ達に隠してることがたくさんあるってことだ。このブレスレットのことも、瞳のことも、その他にもな。」
もっともっと、リンに“仲間”を感じさせてやりたいのに。