• テキストサイズ

花吹雪の様に。《ONE PIECE》

第5章 あなたのためなら


「エース…私、渡せなかった…。」

リンはぽつりと呟いた。


昼間のブレスレットのことだろう。

トラファルガーの奴のことを話しているリンは、とても幸せそうだった。




それを少し、ほんの少しだけ
羨んでしまっていた自分がいたのかもしれない。

嫉妬を感じる自分もいたのかもしれない。



どこかで、心のどこかで

心の底からリンを応援出来てなくて。

今この状況に安心したりとか。






「そうか。……頑張ったな、リン。」


ぎゅっと抱いた。


リンの心臓の音は、
とくん、とくんとゆっくり、規則正しく鳴っていた。






その時点で、リンは船長さんにしか興味がないんだな、と改めて分かった。







「エースってほんとお兄ちゃんみたいで安心する…。」

自分の肩に顔を置いたリンは、耳元でくすっと笑った。



“お兄ちゃん”か。





そう呼んだリンに

もし、俺が“鬼の血”を引いていると言ったら。



もうお兄ちゃんとも呼んでくれないだろう。





“ゴールド・ロジャーにもし子供がいたらァ?そりゃあ『打ち首』だ!!!”

“世界中の人間のロジャーへの恨みの数だけ針を刺すってのどうだ?”

幼い頃の記憶が、頭の中で谺響する。






俺は、世界中の人々がロジャーへの恨みを晴らす対象になるためだけに生まれてきたのだから。


/ 112ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp