第5章 あなたのためなら
「ねぇベポ、ウォーターセブンへはいつ頃着くの?」
「多分、明日には着くと思うよ~。」
明日か。
私の、“最後の島”。
ぼーっと海を見つめていると、ポケットの中で何かが動いたような気がした。
「ん…?」
出てきたのは…一枚の紙。
“お前らの船、次はウォーターセブンに行くんだろ?おれもそこに行くし、多分そこで会えるだろ。”
エース…!!!
(エースはもうウォーターセブンにいるのかな。)
リンがビブルカードを手の平に乗せると、船が向かっている方へズズ、と動いた。
またエースに会える。
ロー達もエースのことを知っているのだろうか。
「ねぇ、エースっていう人知ってる?」
私がさりげなく口にすると、クルー達は一斉にリンの方を向いた。
「リン、その名をどこで覚えた。」
ローはただでさえ険しい目付きを、さらに険しくして言った。
「エースって、あの“火拳のエース”のことだろ?」
「“メラメラの実”の能力者。白ひげ海賊団の2番隊隊長、だな。」
エース…クルー達の反応から見て、かなり強いようだ。
「エースはいい人よ。1度だけ会ったことがあるの。す〜っごく面白い人だし。」
リンはビブルカードを胸元でぎゅっと抱きしめながら言った。
ローにもエースと仲良くして欲しい。
(そういえば、エースは甘いもの食べてくれるんだっけ…!!)
最近、新しいレシピを考えた所だったから、是非ともエースに味見をしてもらいたい。
明日にはエースに会える。
リンは鼻歌交じりにキッチンへと向かった。