第4章 タイムリミット
「…なんだろ、これ……」
ローが連れてかれた後、私は壁の生え際に生えている1つのきのこを見つけた。
私の植物の知識からして、こんな所にきのこが生えるなど、おかしなことだ。
「んん……?」
私はそっとそのきのこに手を差しのべた。
「おいおめェなにやってる…!!」
きのこに向かって差しのべた私の手は、聞き慣れたこの声と共に振り払われた。
「ろ、ロー?」
「それは猛毒を持ったきのこだ。触れるだけで身体中に毒が回る。」
そのきのこ…聞いたことがある――
そう思った瞬間、私の意識がぐるりと回った。
「…っ……!」
そろそろ船に戻って体を冷やさないと、意識が飛んでしまうだろう。
「ロー、悪いんだけど…」
ゴツン。
何が起きたのか分からなかった。
一気にローとの距離が近くなった。
「熱…はなさそうだが、身体が熱いな。…ったく、我慢しやがって…。世話の焼ける奴だ。」
私のおでこにローのおでこがぶつかっているのだ。
顔が離れた…途端、次はふわっと体が持ち上がった。
「ひゃっ…!」
またお姫様抱っこ!
このままでは暑さのせいではなく身体が熱くなってしまうだろう。
「おいシャチ!!俺らは船に先戻ってるからな。しっかり買い物してけよ。」
「りょーかいキャプテン!俺様に任せろ!!」
私はみんなに迷惑をかけてばかりだ。