第4章 タイムリミット
「はぁ……」
リンはまたごくっと水を飲む。
正直言って体調が悪い。
足元もふらつき、視界はかなりぼやけている。
おそらく、この暑さと乾燥のせいだろう。
(やっぱり植物の私にこんな暑い砂漠を乗り越えるのは無理があったかな…)
そんなことを考えても、もう遅い。
ペンギンやシャチ、ローの足でまといになる訳にはいかないのだ。
私は手で汗を拭った。
そう、私達は出航に向けての買い出しにきたのだ。
「じゃ、俺行ってくるから店の外でちょっと待っててくれ!」
ペンギンはそう言い残し、店の中へと消えていった。
「おめェだけじゃ心配だっつーの!!」
シャチはその後を追う。
「ふぅ〜…」
私は日陰に入って壁にもたれ掛かる。
ぼや〜っとした目で辺りを見渡す。
横に見えるのはローの顔。
そういえばローと出会った時も、私こんな感じで倒れちゃったんだっけ…。
「おいリン。おまえ大丈夫か?息荒ェぞ。」
そんなことを考えているとローの手が私のおでこに伸びてくる。
ローは医者だ。私の体調に気づかれているのか。
これ以上、彼らに迷惑はかけたくない。
足でまといになりたくない。
「キャプテーン!!食材どんなもん買っていいスかー?いい食材たくさんあるんだよ!!」
思わず身構えた時、シャチがローを呼びに来たのだ。
「チッ…ったく、うるせェな。リン、おめェここで待ってろ。1歩も動くんじゃねェよ?」
「えぇ、分かってる。動かないわ。」
なんだかんだいって、ローは心配してくれている。
目付きはかなり悪いし、隈が余計に怖さを引き出している。
優しそうでなんかないのに、いつも気を配ってくれる。
そう。いつも、いつも――――。
そして、
そんな気持ちを踏みにじって、
壊してしまっているのは私なんだって言うのも分かっている。