第4章 タイムリミット
「さァお嬢ちゃん、そこを退いて倉庫の鍵を渡せ。もう守ってくれる船長や船員さん達はいねェんだぜ?」
何やら別の船から声がしてきた。
どこかの海賊だろうか。
どっちにしても、名は知れ渡っていない海賊だろうから、特別強い訳ではなさそうだ。
「なんだ、恐怖で声もでねェか。俺らはその船にある財宝をくれって言ってるだけだぜ?おめェなんかに何の危害も加えねェよ。」
「ただし、そこをどいてくれれば、の話だがなァ。」
海賊達は揃ってゲラゲラと笑った。
そんなことを言われても、ここを退く訳にも、鍵を渡す訳にもいかない。
私は椅子に腰掛けたまま、海賊団の船を見上げた。
「あァ?俺様の言うことが聞けねェって言うのか?そこを退けっつってるんだよ。」
船長と思われる人が私に剣先を向けた。
うちの船長とは似ても似つかない態度だ。
こんな人に比べてうちの船長は―――
「お頭、こんな小娘潰しちゃいましょう?さっさと財宝を取ってかないと、あの船長達が帰ってきちゃいますよ!」
「そうだな。トラファルガー・ローは賞金首だしな…。厄介になるな。よし小娘、残念だがおめェの命もここで終わりだ。」
「船長やっちまえ!どうせ女1人じゃなんもできねェ!!」
そう言って“船長”と呼ばれた男は私に鉄砲を向けた。
“こんな小娘”とは私も舐められたものだ。
私はグラスに入った水をごくっと飲む。
「ガハハ。さらばだ、小娘。」
バンッと音を立てて弾が飛んでくる。
ロー達もいなくて誰にも見られていない。
充分にこの“プラプラの実”の能力が使えるだろう。
私は弾に向けてそっと手を挙げる。
「なんだアイツ、手で弾でも受け止める気か?大砲だぞ?出来る訳ねェよ、馬鹿だな。ガハハハ!!」
全く…無駄な体力を使わせないで欲しいものだ。
「…“大樹”」