第4章 タイムリミット
私が黙っているとシャチは軽くため息をついた。
「リン。逃げずに考えてみな。俺はキャプテンにもリンにも幸せな日々を送ってほしいと思ってる。キャプテンは一見怖そうだし優しくなんかなさそうだけど、すげェいい奴だ。だから俺もキャプテンに着いてきた。キャプテンのことはリンも分かってるはずだ。」
そんなことは分かっている。
優しい人なんだって。
かっこいい所だって沢山見た。
かわいい一面も。
好き嫌いがある所だって。
「だからさ……キャプテンを信じろ。」
そう言ってシャチは私の元を離れた。
“キャプテンを信じろ”
似たようなことを前にもローに言われた気がする。
“俺を信用しろ。無理に笑うな。泣けばいい”
だめだよ。
せっかく今まで普通にしてきたのに。
気付いてはいけないって分かってる。
今更気付いても遅いって、手遅れだって分かってる。
タイムリミットはあと3週間だけだ。
“信じろ”
そう言われて、
何度裏切られただろう。
“お前の能力を手に入れりゃ、お前なんて必要ねーんだよ”
“勝手に信じたおめェが悪いんだろ”
“さっさとその能力を渡せ…!”
私に近付いてくる人はみんな
私の能力が目当てだった。
なのに、
ローは私の能力のことを知らないのに。
なぜ私を船に置いてくれるのか。
なぜ“信じろ”と言ってくれるのか。
これで最後にしたい。
少しだけの
“すき”