第3章 隣にいたいと願うこと
「チッ…手間掛けさせやがって。」
“Room”
ローはそう言うと、青い球状の膜のようなものをつくる。
「なにこれ…?」
そう呟いた瞬間。
“シャンブルズ”
私はローの腕の中にいた。
「きゃっ、なに…っ」
私はさっきまで木の上にいたはず――。
「俺は悪魔の実“オペオペの実”を食べた。“Room”に入った奴は完全におれの手術台の上…」
「だから俺からは逃げられねェんだよ。木の上に登ろうが何をしようがな。おめェは…俺のもんだろ。覚えとけ。」
ローはそう言ってふっと笑った。
「俺を信用しろ。無理に笑うな。泣けばいい。」
今まで人の前泣かないようにしていた。
泣きそうでも、
唇を噛み締めて涙を堪えてきた。
感情を出さないように、
何もかもを噛み締めて堪えてきた。
泣いてはいけない。
今まで散々学んできたのに。
私の涙はもう止まることを知らないようだった。
何故泣いているのか。
何故待ち合わせに遅れたのか。
何故腕に火傷の傷があるのか。
ローは何も聞かずに私をぎゅっと抱き締め、頭をぽんぽんと撫でてくれた。
そう。
前にも感じたこの温かみ。
どくん、どくんと規則正しく響く心臓の音。
ローの手は、胸は、いつも私を温かく迎え入れてくれる。
雪が月の光に反射して輝いている。
私はただただ泣いた。
ローといると、私は弱虫になるのかな。