第3章 隣にいたいと願うこと
「……くそ…。アイツどこ行きやがった…」
もうとっくに待ち合わせの時間は過ぎている。
さっき船を見に行ったが、クルー達が何やら騒いでいるだけで、
リンの姿は見えなかった。
山も見たし街も見た。
次は海岸の方を回ってみるか。
正直言って、今自分が何故こんなに必死に1人の女を探しているのか分からない。
リンだって子供な訳では無い。
やりたいことくらいあるのかもしれない。
別のことだって考えようとした。
けれど、浮かんでくるのは
リンの笑った顔
この薬草についての本が欲しいと駄々をこねた時のこと
俺の医学書を貸して欲しいと頼みに来た時のこと
そして
他の誰のことも見ていなくて、
ただおれのことだけを見て
“ロー”って呼んできた時の顔。
仲間だから?
薬草のことを知ってて、話が合うから?
それとも―――
とにかく今は、どうしても見つけに行きたかった。