第2章 ハートの海賊団
(俺は一体何をやっているんだ…)
女と手を繋ぐ、という行為を経験したことがない訳ではない。
そんなことよりなんで自分から手を繋ぐなんてことをしたのか。
「すご~い!!潜水艦なのねこの船!すごい!」
リンはさっきから「すごい!」と目をキラキラさせている。
栗色の髪がサラサラと揺れる。
「…えっと…ろ、ロー…?…髪…」
「…は?」
俺は無意識のうちにリンの髪を、頭を撫でていた。
「…っ!? わ、わりィ…」
急いで手を離す。
リンは不思議そうにこっちを見ている。
(本当に俺は何をやってんだ…クソ…)
目を合わせられなくて、帽子を深くかぶる。
「ふふっ」
俺が動揺している矢先に、アイツが静かに笑う。
「…なんだ」
「いや、照れてんの…かわいいなって」
アイツは花のように微笑んだ顔をこっちに向けていた。
どこか
懐かしいな、なんて思ったり。