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花吹雪の様に。《ONE PIECE》

第6章 何のため?誰のために?



足を踏み入れるとすぐに、見た事のある顔ぶれが並んでいた。
奥の建物まで、道の両端に多くの海兵が続く。

リンはその間を歩いた。
船内ではおぼつかなかった足取りも、しっかり地についている。


「ごめん…、また帰ってきちゃいましたっ」
えへへ、と舌を出してお茶目に笑う。

張り詰めていた空気がほわっと和み、
“相変わらず可愛いなぁ”と歓声が揺れ動く。


「その瞳…おれらのために使え!!」


ほんわかした空気が、一瞬で凍りつく。

しかし、刺したはずの剣は刺さらず、中を透き通った。

つまり、そこにいたリンは
透明だったのだ。


「どういうことだ」
「悪魔の実の力なのか?」


海軍兵は、ざわざわとしながら警戒心を高める。

「おいリン、どういうことだ」
スモーカーの声に対してにこっと微笑みながら、そこにいるリンは口を開いた。


「1個…いいこと教えたげるね」
その場にいる人々全員の目が、一斉に注がれる。
警戒心や恐怖心が高まる中、リンはさも楽しそうにする。

「今ここにいる私は作られた“幻覚”。本物はもうここにはいないんだ」


海賊が海軍の所に入る。
考えてみれば、こんな表から入ってくる方がおかしい。

“全員が私のことを妹みたいに見てるわけじゃないでしょ?”
この時からリンは気付いていたのだ。

この少女は、どこまで先を見ているのだろう?
どこまで、何を想定してるのだろう?


「こんなに堂々と入ってくるもんか!」
べーっと舌を出すと、ふわっと花びらが散った。

道の真ん中に立っていたリンは
姿を消していた。
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