第6章 何のため?誰のために?
そんな間に、リンはとっくに建物内をうろちょろしていた。
「海軍達を通り越せたのはいいけど、どこ行けばサカズキ達がいるのかな」
きょろきょろ周りを見渡していると、どんっと衝撃を受けた。
「ん?」
顔をあげると、そこには懐かしい顔が見られて。
「る、ルッチ!」
ぶつかってくる奴は誰だ、と不機嫌そうな顔をしていたルッチも、血相を変えるように驚きの表情を浮かべた。
「おまえ、なぜこんな所…「クルッポー!」
ルッチが喋るのを遮るように、ハットリの声が響く。
そのままリンの肩に乗り、頬擦りをした。
「もう戻ってくるなと言ったはずだ。帰れ。」
リンの少しの喜びをかき消すように、
そっけないほどきっぱりと突き放される。
それも当たり前である。
リンだって出来るならもう二度と、
この場所に足を踏み入れたくなかった。
なのに、来れたのはなぜか。
「私ね、見つけたんだ」
歯の間を洩れる声からは気持ちが読み取れない。
それでもリンは、
にっと笑った顔をルッチに向けた。
「…自分の命、かけてもいい人」
あるようでない、
ないようである瞳だ。
「おまえのその瞳を使うような奴ではないんだな。」
1度見たその瞳は忘れられなくて。
「…えへへ」
美しかった、息を飲むほどに。
でもまた、
シャボン玉のように壊れてしまいそうでもあったんだ。