第6章 何のため?誰のために?
「ここに有力な人材が来ると聞いていたが…なぜおめェが来やがった。」
「“有力な人材”って…海軍がどこまで情報を手に入れてんのか分かんないけど、私にそんな強い力ないんだって!!期待しないでよね?」
リンの存在が、海軍にまで恐れられている
そんなことを少し前に耳にした。
リン自身だって、この力を使ったことはないはずなのだ。
いきなりその力を見せろとか言われても、困るのである。
「おめェのことは大将の口から何度も出てるが、詳しいことは俺にも分からねェ。…っておめェ、海賊になったんじゃねェのか。なんでまたのこのこ海軍にやって来やがる。」
海賊が海軍に何の用か、と捕まえることも忘れて呆れ果てるスモーカー。
「サカズキに呼ばれちゃったんだってば。大丈夫、今回は自分の意思で来てるもん。スモやんこそ、いいの?私海賊だよ?馴れ馴れしくしちゃって」
スモーカーはどうしてもリンのことを
“海軍”と“海賊”
という立場で見られないのであった。
「おめェを逃がしたからにはおれにだってその後のおめェの生き様に責任ぐらいあるもんだ。」
―――――
スモーカーがまだ27歳の時のこと。
海軍に突如引き渡された1人の少女がいた。
“こいつを引き取ってくれ!もう近くに置いておきたくねェ!!こいつは……悪魔だ!”
まだ幼い癖に
10歳とは思えない程大人びた少女だった。
“ひとりでいることなんてもう慣れてるもん”
―――――
「スモやんが責任感じることなんてないのに…私は大丈夫だよ…1人になるのなんて慣れっこだし」
ほら
また同じことを言っている。